COLUMN

1．企画立案とコンセプト作り

CMを作る際の企画立案とコンセプト作りの段階は、全体の方向性を決める重要なプロセスです。まずは企業のブランディング戦略やマーケティング目標を確認し、CM制作の目的を明確にします。

次に、ターゲット層を特定し、そのニーズや嗜好に合わせてCMのコンセプトを立案します。表現方法や伝えるべきメッセージなどを検討し、独自性のある斬新なアイデアを出し合います。

例えば、若年層向けCMならSNS映えするビジュアルを意識したり、中高年層向けならわかりやすい説明性を重視したりと、ターゲットに合わせた表現が大切になります。こうした企画段階から、ヒットするCMを生み出すための基礎を築いていきます。

2．絵コンテ・シナリオ作成

企画内容やコンセプトにもとづき、カメラワークや演出、台詞などを具体化する重要な工程です。

絵コンテ

ワンシーンごとの画面構成やカメラアングルを図解した絵です。撮影時の視覚的な指針となり、監督の意図を明確にします。

シナリオ

ナレーション、キャスト（俳優）の台詞、音楽や効果音の指示など、映像に関わる全ての要素を文字化したものです。シーンの切り替えタイミングやカメラワークなども記載されます。

この工程で、企画をどのように映像化するかが具体的に決まります。監督をはじめ、スタッフ全員が共通の認識を持つことができるので、円滑な撮影が可能になります。

3．キャスティングと撮影準備

ターゲット層やCMのコンセプトなどに合わせて、出演者をキャスティングします。例えば、主婦をターゲットとするのであればママタレントを、女子高生をターゲットにするのであればアイドルを起用するのがおすすめです。

有名タレントを起用する場合は、キャスティング費用が高額になるため、予算内に収まるかどうかを考慮する必要があります。キャスティングについては、絵コンテ制作と同じタイミングで決めるのが望ましいとされています。

撮影準備では、まず撮影場所の予約や撮影許可の取得、予備日の調整などを行います。次に、撮影に必要な道具の準備や、カメラマンなどのスタッフの手配を行います。カメラマンについては、得意ジャンルが人物や風景など人によって異なるため、撮影内容に合わせて適切な人材を選ぶ必要があります。

4．本撮影実施

企画から絵コンテ作成を経て、いよいよCMの本撮影に入ります。撮影方法は大きく分けて3つあります。

スタジオ撮影

屋内で、セットを組んで撮影します。CMの内容に応じてスタジオサイズを選びます。

ロケーション撮影

スタジオではなく、屋外でロケ地を選んで撮影します。海外ロケも可能ですが、交通費などが追加で必要になります。天候にも左右されるため注意が必要です。

ロケセット撮影

屋内ロケとも呼ばれ、撮影スタジオ以外の室内で撮影します。自社の事務所を使う場合もこれにあたります。

撮影現場では、カメラマンや照明スタッフ、助監督など、様々なスタッフが撮影をサポートします。クライアントも立ち会い、監督の指示に従いながら進行を確認します。

明確なコンセプトとメッセージ性

CMには明確なコンセプトとメッセージ性が必要不可欠です。視聴者に何を伝えたいのかを明確に打ち出さないと、伝わりにくくなってしまいます。

例えば、次のようなコンセプトが考えられます。

• ブランドの新しい価値観や理念を訴求する
• 新商品の特徴や魅力をアピールする
• 企業の社会的責任や環境への取り組みをPRする

このようなコンセプトを明確に設定し、ストーリーや映像、音楽などを通じてメッセージを効果的に伝えることが重要です。

ターゲットに合わせた表現

CMのターゲット層に合わせた表現をすることが重要です。例えば、主婦層をターゲットにする場合は、家事や育児に関わるシーンを取り入れるなど、ターゲットの生活シーンを意識した表現が求められます。

また、ターゲットの好む芸能人やアーティストを起用したり、ターゲットの関心事をテーマにしたりと、様々な方法でターゲットに合わせた表現が可能です。ターゲット層を明確に意識した表現をすることが、CMの視聴率やブランド印象向上につながります。

印象的な映像やCGの活用

印象に残るCMを制作するためには、クリエイティブな映像表現が欠かせません。特に近年は、CGの活用が不可欠です。

リアルな映像にCGを組み合わせることで、現実では表現できない斬新なアイデアを視覚化できます。例えば以下のような表現が可能です。

• 商品がアニメーションキャラクターとして動く
• 商品が浮遊したり変形したりする
• リアルな背景に架空の世界観をCG合成する

このようなCGの活用により、視聴者の想像力を掻き立て、より強い印象を残すことができます。

したがって、CGを駆使した映像表現はCM制作の必須スキルといえるでしょう。

音楽・ナレーションの効果的な使用

音楽

適切なBGMの選定は重要です。映像の雰囲気に合わせて楽曲のジャンルや雰囲気を選びます。

例：企業PR動画→爽やかで前向きな曲調、製品紹介動画→テクノやロックの抑揚のある曲調

ナレーション

聞き手に響くナレーションを心がけます。プロのナレーターに依頼するのが一般的です。

収録では以下のポイントを確認します。

• 読み方（抑揚、イントネーション、専門用語の発音など）
• 声の調子（年齢、性別に合わせる）
• ナレーターの選定（企業イメージにマッチしているか）

音楽とナレーションを効果的に使うことで、動画の完成度が大きく向上します。